Amazonでの広告運用において、効果的なターゲティング方法を選ぶことは、売上拡大に向けた重要な要素です。
その中でも、近年弊社が注目されているのが「スポンサーディスプレイ広告(SD)」のコンテキストターゲティングです。
この記事では、コンテキストターゲティングの基本的な仕組みから、自社で行った運用テストの結果を踏まえた有効な設定方法まで詳しく解説します。
これを読んでいただければ、Amazon広告の中でも、特にSDコンテキストターゲティングをどのように活用するか理解できるようになります。
Amazonで売上をあげたい方は、ぜひ参考にしてみてください!
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スポンサーディスプレイ(SD)コンテキストターゲティングとは?
コンテキストターゲティングとは、広告が表示されるページの内容や文脈に基づいて、適切な広告を配信するターゲティング手法です。Amazon内ではもちろん、外部のサードパーティWebサイトやアプリ(TwitchやWhole Foods Marketなど)でも広告が表示されることがあります。コンテキストターゲティングを活用することで、さまざまな場面で新しいオーディエンスにリーチすることができます。
広告の表示場所は、広告主が設定したターゲティングや入札戦略に基づいて最適化され、次のような場所に配信されます:
- Amazonの商品詳細ページ
- 商品検索結果ページ
- Amazonフレッシュ、Whole Foods Market
- 外部のWebサイトやアプリ(Twitchなど)
上の画像2つの赤枠で表示されている広告が該当します!
コンテキストターゲティングでは、以下の方法でターゲティングを行います。
カテゴリーターゲティング
カテゴリーターゲティングでは、指定したカテゴリーに関連する商品詳細ページや検索結果ページに広告を表示します。これにより、ターゲットとなるオーディエンスのリーチを広げ、より多くの人に自社商品をアピールできます。
商品ターゲティング
商品ターゲティングでは、個々の商品ページに対して広告を配信します。自社ブランド内の補完商品を宣伝することで、ブランドロイヤルティを高めることができ、商品詳細ページでのクロスセル(関連商品購入促進)にも効果があります。
また、商品と関連性の高い他社人気商品の商品詳細ページに広告を掲載することで、潜在的な新規顧客にアプローチすることも可能です。スポンサープロダクトやスポンサーブランドの商品ターゲティングはAmazonスポンサー広告の中でも有効な広告ですが、似たような形でスポンサーディスプレイ広告のコンテキストターゲティングでも配信することが可能なのです。
スポンサーディスプレイ広告の設定方法
まずは広告キャンペーンマネージャーより「キャンペーンを作成する」ボタンをクリック。上記画面が表示されますので、「スポンサーディスプレイ広告」を選択してください。
- キャンペーン名
- ポートフォリオ(必要な場合は)
- 開始日
- 終了日
- 1日の予算
- 広告グループ名
を入力してください。
キャンペーン名に関しては弊社では【「商品名」-SD】【「商品名」-SD-コンテキスト】のような形で管理画面上わかりやすいように設定しています。
※SD広告全てを1キャンペーンにまとめる場合は前者の設定。グループ名で後者の設定を行う。
開始日、終了日の設定はすぐ開始して終了予定がない場合は何も触れなくて大丈夫です。
1日の予算は商品の市場規模と入札単価、広告配信面にもよりますが、最初は2000円程度から設定し、予算消化率を観測しつつ増加する必要があるかを吟味するのがオススメ。
広告グループ名は前述した通り、1キャンペーンにSD広告をまとめたい場合(リマケなどのターゲティング)はグループ名で【「商品名」-SD-コンテキスト】のように設定する。
まとめない場合は特に気にせずOK。
続いて最適化戦略について。
- リーチ
- ページの訪問数
- コンバージョン数
と執筆時点では3つの最適化が存在しています。
それぞれどこに重きを置くかについての設定になりますが、超大手ナショナルブランドとかであれば認知目的のためにリーチやページ訪問の最大化を主にしても良いと考えますが、そうでない場合(大半の商品)はコンバージョン数の最大化に重きを置くべきです。
一見、リーチやページ訪問数を設定すると安い入札単価でもしっかり配信されているように感じるシーンもありますが、結果的に購入に繋がりやすいかと言われると管理画面上的にも広告以外の売上にも結びつかないというケースが大半でした(筆者経験談)。
次にコストコントロールの設定ですが、執筆時点では設定しなくて良いと判断しています。
この設定は「いくらまでの広告費で1注文を獲得したいか?」という金額指定をセラー側で行うものになります。つまり、限界CPAをあらかじめ提示することでAmazonがそれに合わせた配信設定を行います。
テキスト内容だけ見ると良いシステムに感じると思いますが、これには罠があります。
後ほど弊社の方で半年以上の期間をかけてデータを取ってきたものの中でもお伝えしますが、基本的にこのコンテキストターゲティングという配信設定上では”管理画面上で”売上は着火しにくいです。
「コンテキストターゲティングはパフォーマンス悪いのになぜ推奨するの?」って話は後ほどしっかり解説します!
つまり、限界CPAを設定したとしてもセラー側で求めるような数値以下での運用は難しいため、そのような結果になるとAmazonの機械学習で広告をどんどん縮小させようとしまう傾向にある(と公式発表では存在しませんが我々は推測しています)ということなのです。結果として配信は回りにくくなる一方になる可能性が高くなってしまうため、注文獲得単価の設定はここでは行わないという結論になります。
※この設定は今回のターゲティングに限った話です
ここからは配信設定になります。
静止画での配信か動画での配信が可能です。
そして、広告掲載する商品を選びましょう。
ターゲティング設定では今回の記事のテーマである「コンテキスト」を選択。
前述した通り、ここで「カテゴリーターゲティング」と「商品ターゲティング(個々の商品)」を選択できます。
配信したいカテゴリー、商品を選択して入札単価を設定しましょう。
カテゴリーターゲティングと商品ターゲティングの両方を並走させることももちろん可能です!
カテゴリーターゲティングでは大カテゴリー以外でも小カテゴリーのみなどにも範囲を絞ることが可能。
更に、幅広い配信を行うカテゴリーターゲティングでは絞り込み設定を行えば
- ブランド
- 価格帯
- レビューレート
- 配送方法
なども設定することが可能です。
※「ブランド」については現状上手く反映できないことがあります。
これによって「関連性が低いのに配信されてしまう」というカテゴリーターゲティングの弱点を少しでも補うことが可能になります。
最後に、配信する商品のクリエイティブ設定を行います。
- ロゴ
- 見出し
- 画像or動画
の追加設定が可能です。追加設定をしない場合は商品のメイン画像と価格情報だけが掲載されます。
何も追加設定をしない場合の掲載イメージは上記になります。これでも見栄え上問題はありません。
クリエイティブを追加設定すると上記のような表示にも変更可能です。追加設定によって見栄えを良くすることが出来れば、CTR(クリック率)の上昇が見込めます。
クリエイティブを追加する場合の要件は以下の通り。
ここまで設定を終えればあとは「キャンペーンを開始」ボタンを押せば審査が開始され、審査に問題がなく開始日指定をしていなければ自動的に公開されます!
スポンサーディスプレイ広告(SD)コンテキストターゲティングを用いた運用テスト結果
次に、私たちの運用チームが実施した半年間のコンテキストターゲティングを使用したテスト結果を元に、運用戦略を解説します。
テストの目的と設定
目的としては、SD広告のコンテキストターゲティングの管理画面上パフォーマンスが、他のAmazon広告形式(SP: スポンサープロダクト、SB: スポンサーブランド)と比べて悪いことは事前から分かりきっていました。しかしながら、この配信設定をしておくことによって他広告やオーガニック売上にも間接的に貢献しているのを検証することでした。
設定内容は以下の通りです。
- SP&SBの商品ターゲティングをベースに、パフォーマンスが良好なものを配信先に選定(カテゴリーターゲティングも含む)
- 入札額は、他広告商品ターゲティングと同額、もしくは少し低めに設定
- コストコントロール(許容CPA)は設定せず
- 最適化はコンバージョン目的
テスト結果
半年にわたるテストの結果、SD広告のコンテキストターゲティングは、SPやSBに比べて、ROAS(広告費用対効果)では明らかに劣る傾向があるものの、配信を有効にすることで全体的なパフォーマンスにプラスの影響を与えることが確認されました。
特に、商品ターゲティングを利用して広告を絞り込んだ場合、以下のような効果が見られました:
- パフォーマンスが安定する:入札額や設定を適切に行うと、全体の広告パフォーマンスが底上げされる。
- ターゲット範囲が広がる:Amazon内外での表示によって、従来リーチできなかった新規オーディエンスにアプローチ可能。
この結果から、SDコンテキストターゲティングを広告ポートフォリオに含めることが、全体的な効果を最大化するための有効な手段であることが示唆されました。
※商品内容にもよります
広告ポートフォリオの優先度
テストを通じて判明した広告ポートフォリオの優先度は、以下のようになります。
- SPマニュアル
- SBv(カタログ遷移)
- SBv(ストア遷移)
- SPオート
- SDリマーケティング = SDコンテキスト
- SB商品コレクション
- その他
元々、SDコンテキストターゲティングは「その他枠」に分類していましたが、SPやSBvの商品ターゲティングでパフォーマンスが良好であれば、SDコンテキストをポートフォリオに組み込んでテストを行う方針に変更しました。
ただし、管理画面上のROASを基準にした単純な判断のみで分かりやすい運用をしたい場合、SDコンテキストターゲティングは非推奨です。SDコンテキストターゲティングを利用する場合はROAS以外の指標、例えば総売上や全体のコンバージョン率などを考慮する必要があります。
単純な広告キャンペーン上の数値以外への影響も考えて運用ができたら一人前のAmazon広告運用者です。
まとめ:SDコンテキストターゲティングの可能性
AmazonのSD広告におけるコンテキストターゲティングは、適切な設定と入札戦略を取れば、他の広告形式と組み合わせて効果を発揮することができます。ROASだけに頼らず、広範囲にリーチする戦略を試してみる価値があります。
もし、SPやSBの運用に慣れているならば、今回紹介したSDコンテキストターゲティングをポートフォリオに加えてテストすることをお勧めします。特に、SPやSBの商品ターゲティングと組み合わせて最適化すれば、長期的な効果を期待できるはずです。